はむざメモ

サラリーマンの雑記ブログ

これぞ中華の迸り! アクション超大作映画『戦狼』を見て

最近お仕事で中国に行くことが多いのですが、日に日に街も人も勢いを増していくのを肌で感じます。それでいてインド的な勢い(カオス)ではなく、長江のようにどっしりと、清濁併せ飲みながら着実に成長しており、面白いなあ、と。この辺については別稿で考えてみたいと思っていますが、今日は映画の話です。

 

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『戦狼』(2017)という映画を見てきました。

映画『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』公式サイト

簡単に言えば中国版ランボーという感じでした。

(終わり)

 

…これでは身も蓋もないのでもうちょっと書きますと、

 

● お話としては、特殊部隊「戦狼」の元隊員レン・フォン(冷锋)が、アフリカの某国で医療援助とか工場経営とかしている中国人同胞を助けるため、反乱軍相手にドンパチする、という筋と思っておけば大体間違っていないです。

 

● このドンパチがまあ凄い。海賊によるシージャック、水中戦、激しい内戦、傭兵軍団による虐殺、反乱軍仲間割れ、ドローン戦、カーチェイス、戦車戦、国連ヘリ攻撃、中国海軍によるミサイル発射と、爆発に次ぐ爆発と肉弾戦のありとあらゆる要素を全部盛せして更にマシマシしたぐらいで、お腹いっぱいだけどテンションは超高いぜヒーハー、となる恐れがあります。あ、でも、ハリウッドでは欠かせないお色気要素はほぼゼロです。ゼロちくび。ちょっと残念。

※ラリったような映画という意味では、インド映画の『バーフバリ 王の凱旋』(2017)を見に行こうかも迷ったのですが(しかもこちらは踊り要素あり!)…、レビューがあまりにもスパイス臭く、胸焼けしそうだったので日和りました。

映画『バーフバリ 王の凱旋』公式サイト

 

● そもそもランボーベトナム戦争の暗部、帰還兵や米国社会の負った傷を描いた作品であるのに対して、こちら『戦狼』は中国政府の全面バックアップによる国威発揚ど真ん中の映画になっています。だから同じランボーでも『怒りのアフガン』に近いし、どちらかというと007ノリですが、そういう分析は置いといて、まずは気楽に壮大なアクションを楽しめば良いと思います。日本人が敵役になっているわけでもないですし。

 

● 中国政府バックアップという点では、人民解放軍90周年「建軍節」に合わせての公開だったということで、なるほど納得。途中中国海軍の軍艦を映すシーンだけやけに画質が粗くなったのは、本物の映像だったからなんでしょうか。しかしこういう映画が作れるというのは、資金調達や国家の協力、映像の技術や俳優陣の層の厚さなど、素直にすごいと思います。

 

● 主演・監督の吴京(ウー・ジン)は、ドニー・イェンと並び今一番熱いアクション俳優@中国で、『SPL/狼よ静かに死ね』(2005)での路地裏バトルで見せた狂気に満ちた敵役は衝撃でした(Youtubeで、SPLとかvs Wu Jingで検索すれば簡単に見つけられます)。本作では主人公補正もあってか、かなりイケメンです。

ジャッキー・チェンとかジェット・リーのようなこてこてのカンフーよりは、現代中国が舞台の近接格闘のような絵(ファイトシーン)が多いイメージのウー・ジン出演作の中でも、本作が間違いなく最高傑作でしょう。

 

● 日本語タイトルだけではよく分からないものの、本作は三部作の二作目であり、前作『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊』(2015)の続編になります。が、前作を見ていなくても十分楽しめます。

前作に比べたら本作はまだ公開される劇場も増えていますが、何週間もやっているハリウッド超大作と比べたら回転速く、すぐ見れなくなってしまうようだったので、急いで錦糸町のTOHOで見てきました。東京は映画館多いのでまだ良い方なのでしょうが…

あ、あと、次回三作目への引きもしっかり最後の場面で入っておりました。vs中国国内の麻薬組織(+ネイビー・シールズ崩れの傭兵)、vsアフリカ某国の反乱軍(+欧米ロシア混成の傭兵軍団)ときて、仕上げは中東の過激派と思われます。(ジハーディ―・ジョンっぽいやつが最後出てきました)

盛り込みすぎじゃなかろうか…というのは余計な心配なのかもしれませんが。

 

● 映画の高揚が引くと、こうした、見ていてスカッとするようなアクション映画、日本でもできないものだろうかと考えてしまいます。でも日本人主人公がランボーマクレーン、本作のレン・フォンのように暴れまくってスッキリ、という映画があんまりイメージが湧いてこないのです(僕だけでしょうか?)

多分、そういうのは全部アニメでやってきたということと、日本人を主人公にしてリアリティをもってやろうとすると、どうしても自衛隊員ではなく警察官になってしまうため、ストーリーの風呂敷をそこまで広げられない制約があるのかなあ、と推測しています。あとは、なんというか、頭を空っぽにして楽しめるアクション・エンターテイメント映画をあまり高級と思ってないのかような空気感もあるのかな(違っていたらすみません)。

その意味で『シン・ゴジラ』(2016)はそういう鬱憤の集大成というか、一人のヒーローはいないけど、皆で協力して難題解決するというカタルシスを、大掛りなドンパチを以て描くことができた稀有な映画だったと改めて気づかされます。

(格闘アクションの日本映画としては、『RE:BORN』(2016)がマイナーながら光るものがあります。プロットはもっと何とかならなかったのか…)

 

● この下に、他の方の感想・批評なども載せておきます。

映画の背景的な情報量が多いのは一番下のサイト様です。

 

ameblo.jp

realsound.jp

spice.eplus.jp

 

今年は映画が豊作でうれしい限りです。